※こちらの記事は、2013年6月に執筆したものです。
江戸時代から京都車屋町通り御池上がる東側、というところがある。今は中京区という行政区が挿入される。
私はこの場所こそ日本の近代の思想史の始まりだと思っている。
何を隠そうこの場所は亀岡生まれの石田梅岩先生が初めて私塾を開いた場所である。
石田梅巌(いしだばいがん)邸跡
石田梅岩像
その梅岩先生の有名な言葉には今日でも政財界の一線におられる方々に聞かせたい台詞が山ほどあるが、次の二つで十分であろう。
「商人が利益を得るのは、武士が禄をもらうのと同じ」
「真の商人はさきも立ち、われも立つことを思うなり」
よくぞ士農工商の身分社会にあって商人の利益は武士の俸禄と同じと言い切ったと思う。現在では当然と思うような言葉であるが、これこそ士農工商の身分社会を否定した言葉の走りであろう。
あまり理解されてはいないが 身分社会とは武士は働かなくても身分によって収入が保障されるということである。その反面、百姓は生まれた土地に縛り付けられ一生農地を耕すマイナス身分である。100石の武士は働かなくても無役のまま100石の収入がある。そのためにする仕事はお母さんの腹の中からでてきたということだけである。
商人は利益をかすめ取る階級ではない、武士と同価値の社会的存在があるのだということを示した言葉である。
翻ると、働くのであるからそれ以上といいたかったのであろう。
2013.06
■ 関連資料
石門心学(リンク先は「フィールド・ミュージアム京都」です。)
石田梅巌邸址(リンク先は「フィールド・ミュージアム京都」です。)
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- 弁護士法人 田中彰寿法律事務所 代表。
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