※こちらの記事は、2015年5月に執筆したものです。
過日私の檀家寺の晋山式があり私も出席させていただいた。
厳かに執り行われた式典のあとには出席者全員での懇親会がある。
そうあの人も同じ寺が檀家だったのかと今さらながら気がつく。
寺側からは法類の寺院からも住職が出席する。
確か法類のあの寺は私の母方の実家の檀家寺で、こちらは養子に来た父方の檀家寺だ。私は母が貧乏な父のもとに嫁入りしてきたのは、大昔の親戚周りになり、私の家を支えるために嫁にこさせられたようなことを聞いたことがあった。昔は同じ宗門の寺々を媒介として嫁入りしたり婿取りをしていたのだなと思う。
戦前までそれほど情報網が張り巡らされているわけでもなし、田舎においては村を越えた連携を持つのは同じ宗門の寺々であるし、それは重要な情報のネットワークだったのだろう。
嫁入り婿取りに限らず就職からして寺々のネットは国民の生活を隅々まで結んでいたのだろう。そしてそれは単に民衆を縛り付ける手段であっただけではなく、民衆にとってもそれなりに有用で生活の指針になっていたのだろう。
戦後、とりわけ最近になって既製宗教の権威や現実の力が落ちてきたといわれて久しいが、それはこうした既存のネットワークがほころび、他の強力なネットワークにとって変わられてしまったということなのだろう。
そういえば、そこにおられた別のお寺さんは、私が子供の頃から受験やその他の願い事がある度に母親に連れられて願かけに参ったお寺だった。
2015.05
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- 弁護士法人 田中彰寿法律事務所 代表。
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