役所とのスタンス ~事故米の三笠フーズ破産申請
三笠フーズが11月26日破産開始決定をうけました。私は、この会社の事故米報道がなされた時、早晩倒産するだろう、それも再建型ではなく、清算型でと思いました。やや遅かったのですが、案の定、破産開始決定をうけました。
事故米デンプンの島田化学工業はデンプン生産事業を第三者に事業譲渡をしてしまいました。
こうした消費者相手の不祥事が起こると、通常の会社は再起できません。消費者の信頼を失ってしまうからです。最近のマスメディアの発達した社会では、メディアが徹底的に叩きます。市民も徹底的に叩く側にまわります。
事故を起こして再開した赤福などは希有なケースで、よほど資金があったのと会社の地域社会における経済的影響が大きかったのでしょう。
さて、三笠フーズにもどりましょう。事件発覚後の報道によりますと、事故米を転用されないように監視するべき農林水産省が非難され、役所に責任はないと言っていた事務次官まで辞職をさせられました。そしてマスコミは、官との癒着を追求していました。その追求は食糧事務所の検査が事前に通知されていたというところまで報道されたものです。
事前に検査日を通告するわけですから、事故米を倉庫の奥深く隠し転用の実態を隠蔽する機会を与えていたのです。
おそらく、こうしたことは20年前であれば、役所の立場を守り、業界保護を第一の使命とする官庁が、何らかの形式的な処理で手をうち、会社を守り、破産にまで追い込むことはなかったと思います。三笠フーズの役員も農林省のお荷物の事故米を処理してやっているのだから、何かあっても、あうんの呼吸で会社を守ってくれるだろう、悪いようにはしないだろうという期待を持っていたに違いありません。経営者の年齢を考えれば、そうした古きよき時代を思う体質があっても仕方がないでしょう。
でも、時代は変わりました。時代が変わったということを毎日呪文のように唱えていなければ自分が時代に取り残されるようになりました。
バブルが崩壊し、護送船団方式が捨てられて、市場原理に任せ、事前規制から事後規制といわれるようになってから、役所は自分の責任を免れるために、民間業者をどんどん切り捨てるようになりました。そのために、関係法令がきめ細かく整理され、なんでも事故があれば切り捨てできるようになっています。昔より役所の権限は強くなってきているのです。
こうした時代を生きる私たちは、役所とのあうんの呼吸のようなものを一切期待しないことです。役所が民間にしなくてもいいことを求めてきたら、文書にしてもらうことです。役所はそうしたことはしませんから、何かを期待したり、悪いようにはしないからというような曖昧なことを期待して会社経営をしないことです。明らかに、役所の態度は事後規制に転換しているのですから。私たちも意識を改めることだと思います。
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- 弁護士法人 田中彰寿法律事務所 代表。
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