貴方の会社に不祥事がおこったら

貴方の会社に不祥事がおこったら

序 コンプライアンスとは
  1. 刑事事件を犯さないのがコンプライアンス厳守(法令遵守)ではない。
    • 当然のことである。
  2. そうしたことを起こさないよう体制をつくり管理をすること。
    • リスクは必ずある。
    • 事件が起こったとき、隠さない・説明する・決断する・戦う。
  3. 護送船団方式は終わった。役所は業界を助けてくれない。
    • むしろ切り捨てに回る。
    • 例)「農水省は『抜き打ち検査をするなど厳しくしたい』と 検査方法の見直に着手した。」
1.なぜ、不祥事は起こるのか
  1. 会社の目的が利益追求と誤解している。
    • 「何のために利益が在るかといえば、変革とリスクに対処するためである経営の目的ではない。経営の結果にすぎない」(ドラッカー)。
  2. どこでもやっているから。何で我が陣営だけを。
    • 「赤信号みんなでわたれば怖くない、か。」「事故米転売は他の複数の業者も行っていた」(事故米が発覚した、三笠フーズ顧問)
  3. 不祥事が発覚すると、会社が社会的制裁、金融上の 制裁、取引上の制裁を受け、経営危機に陥るばかりか、倒産廃業に追い込まれることが多い。
    • 不祥事は発覚することが問題なのではない。これに誠実 に対応できないことが問題で、処理を誤り被害を拡大することのほうが多い。
    • 「私だって寝ていないんだ。」(雪印乳業支配人)※この発言の結果、廃業に追い込まれる。
    • 「私が悪かった。」(船場吉兆女社長)※残り物を出したのが発覚して。
  4. 担当者が上司の責任追及を恐れ、事件を隠す。経営者が会社を把握してない。事件が大きくなってから認知する。
  5. 経営者にスキャンダルが多い。見栄っ張り経営で、経営者 の個人的贅沢が大きい。
  6. 新聞社やマスコミの対応をする術を知らない。すべては早く、正直に。
  7. 経営者が地位保全に走る。
  8. 前記事態に陥ることを避けるために、金でカタをつけ、くさい物にふたできるならしてしまいたい。
  9. 経営者は、情報は隠せると思う。
  10. 企業一家で、従業員は企業を守ると思う。
    • 公益通報者保護法。
    • 公益通報者保護委員会の設置(弁護士会)
    • 内部告発に心理的抵抗はない。
2.不祥事があればどういうところが飛んでくるか
  1. マスコミ
  2. 警察
  3. 保健所並びに県衛生部
  4. 労働基準監督署および労働局
  5. 社会保険事務所
  6. 政治団体等
  7. 一般労組
3.不祥事を起こさない対策
  1. 見て見ぬふりをするな。
    • 倫理というのは、自分が手を汚さないからいいのではない。
    • 立場により防止義務がでてくる。
  2. 予兆は必ずある。
    • ハインリッヒの法則。
    • ぼやで騒げ(消防署)。
    • やけどは最初に大騒ぎせよ(皮膚科の医者)。
  3. 無謬原則は事故の温床。
    • 事故は必ず起こる。
  4. 企業や立場のある人間には説明責任がある。
    • 自分の子どもが見ていてもそれをするか。
  5. 細かな届け出、規則違反にも注意をせよ。
    • 昔と今とは違う。役所は守ってくれない。
    • 護送船団方式は終わった。監督官庁は当然ながらしっぽ切りをする。
    • 「事前規制(役所による行政指導)から事後規制(告訴、告発、処分、裁判などの法的手続き)に」国際化とともに社会のルールが変わった。
  6. 怪しげな会社個人と取引するな
    • 外資の会社は、違法行為と関わりのある会社には出資、融資しない。N.Yで非難され、不買運動を起こされる。
    • グッドウィル株、UTが売却方針・取得後、自身の株価低迷でUTは3月にGWG株を取得し業務提携を持ちかけたが、5月に交渉が決裂していた。UT自身の株価がGWG株の取得以降低迷しており、「早期に出口(売却先)を見つけ、事業成長に必要な分野に資金を振り向けたい」(若山陽一社長)としている。
4.不祥事が起こった時の対策
  1. 事態を細大漏らさず直ちに把握する。
  2. 対策を立案し、直ちに実施する。
  3. 事柄をオープンにする。秘密主義をとらない。
    • 事柄に応じて、監督官庁に報告。
    • 社会問題になりそうなら記者会見を開く(情報開示)。
      • 例)午前8:30に記者会見→夕刊で済んだ。
      • 例)交通事故、逃げるから刑務所に行く。
  4. マスコミ対応を間違えない。
    • 速やかに記者会見を行う。その前に事態を細大漏らさず把握しないと、記者の集団リンチにあう。
    • マスコミとの窓口を一本化し、担当者を決める。
  5. 被害者があれば、役員トップが直ちに見舞う。
    • 時期をおくと、敷居が高くなる。

 

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